「山梨日日新聞」
2010年4月6日掲載
世界を意識すると、真っ先に思い浮かべるのがワイン研究の
大先達である麻井宇介(没2002年)さんです。
「若手醸造家の集い・勝沼ワイナリーズクラブのメンバーに対し、メルシャン社が開発した甲州シュール・リー技術を、産地勝沼の為に惜しみなく指導」、「世界の銘醸地に肩を並べるワインとして日本のワインを紹介」、「失敗した甲州種ブドウの垣根栽培を乗り越える目標となる実生栽培・・・1996年から始めた毎年数百粒の種蒔き。ワインに向く新しい甲州種ブドウを数万粒から見つけ出す百年計画・・・遠い道程であったとしても何事も始めなければ実りはないと、背中を押す」、「ニュージーランドを始めとするワイン新興国と日本とで、然程、ワイン造りの歴史の長さは変わらない。世界で目覚ましい進歩を遂げたワインと何処にその差があるのか?それはロンドン市場で勝負しないからだ」
このように様々な視点から、日本のワイン造りに対して、常に真摯な姿勢で臨んでおられました。
2008年、厳しいEUの品質基準を達成した白ワイン甲州「Shizenキュベ・ドゥニ・デュブルデュー2006」(弊社醸造)40ケースが、世界のワインの発信地である英国に初上陸。これまで、日本にはEUが認めるワインの品質検査認証機関がなく、日本産ワインの輸出はできませんでした。しかし、2007年11月、(独)酒類総合研究所が品質検査認証機関としてEUの認可を得たため、ワイン醸造に関するEUの基準を満たしていることが確認されれば欧州への輸出が可能となりました。
処が、悲しいかな、消費者に訴求力のあるブドウ品種名「甲州」が、EUワイン法の制約で今までラベル表示ができませんでした。念願でありました「甲州」のラベル表示に見通しがつきました。日本ワインの歴史が変わる瞬間を迎えています。
本年1月にKOJ(県内15ワイナリーによるEU向け甲州輸出委員会)がロンドンで開催しました甲州マーケット・プロモーションで、爽やかでドライ、アルコール度も低目でヘルシーなワインと軒並み高い評価を得ました。
日本食のみならず、「甲州」のフレッシュでデリケートな味わいは、ヘルシーのトレンドにある繊細な料理とのマリアージュは良く、日本の文化を代表する「甲州」として、新たな海外市場での将来性を確信しました。
三澤 茂計 (弊社発行グレイス通信より)